ラ・シオラの由来 ...
1997年。冬と春の狭間。水の都、ヴェネチアにて。
1997年2月、ヴェネチアの某ホテル。
冬なのに私は暑苦しさで目を覚ました。他のふたり、ドミナ「R」、奴隷「犬」は熟睡中。犬に窓を開けておくよう命じたのに忘れたみたい。窓を開けたら広がる闇。目が慣れたら群青に移ろい、教会のシルエット、運河、水の光が静寂の中で浮かんだ。
時計は午前2時。寝直そうとしたらノックの音。こんな時間に?とドアを開けたが誰もいない。こんなことを数回繰り返したので、犯人を捕まえようとはりこんだ。ノックと同時にドアを開け、赤い絨毯の続く長い廊下に飛び出ること数回。しかし、誰もいない。
すっかり目が冴えてしまった。犯人が隠れる場所などなかったのだから。
犬が汗をかいて呻き声をあげ始めた。同時にRが上体を起こした。
「Rちゃん、起きちゃったの?犬がうるさいね」
Rは返事もせず虚ろに座ったまま。再び寝てしまった。その時、部屋の空気が一変、暗くなった。壁の中から声がして、男女が壁から浮かび現れた。女性は扇を手に、裾の膨らんだドレス。男性は織柄素材の上着、同素材の帽子。笑顔で見つめ合い、軽快な足取りで反対側の壁の中へ消えた。優雅で恐怖はなかった。
ふたりが消えると空気が重くなった。次の来客は、白い仮面に真紅のマント。まるでカルナバルの絵葉書の中のような人。ゆっくり歩き、やはり反対側の壁に消えた。
その人が消えると微かな音がした。少しづつ大きな音になり、はっきりと聞き取れた。
「・・・ショーラ・・・シオラ、La Siora」
その言葉が気になってメモを取った。結局、一睡も出来ぬまま朝を迎えた。
この時、私はベネチアの友人「M」を訪ねて来ていた。朝、Mが観光案内の為に迎えに来たので、私はLa Sioraという言葉があるかを質問した。
「La Siora?どうしてそんな言葉知ってるの?辞書にないし、知っているイタリア人も少ないよ」。
その言葉が実在することに驚いたので、昨夜の体験を全部話すことにした。M曰く、ヴェネチアで不思議なエピソードは多いらしい。
「リエ、おめでとう!凄いね!ベネチアに認められたんだよ!本当の女王様」
「どうして?」
「ヴェネチアの昔の言葉で、敬いを込めて女性に呼びかける言葉なんだ。英語で言うとThe Mistressかな」。
プロデュースが決まったものの、良い名前が浮かばず旅に出た私は、その言葉を有難くいただいた。
ヴェネチアの古からの贈り物、時代を超えた言葉。
~ La Siora ~
ドミナ・インタビュー
第1弾 真珠女王様
唯一のエクセレント・ドミナである真珠女王様へのインタビューが行われました
どうしてSMに興味を持ったのか、どんなSM遍歴を辿ってきたのか、これからの抱負や、ラ・シオラに対して思うこと、などなどをインタビューしていきます。
2019年で在籍17年目、もはやラ・シオラのイメージとも不可分な真珠女王様。SMとの出会い、M男性との向き合い方、17年の軌跡を振り返って思うこと、これからの抱負など、プロデューサーのRie ASAGIRI、自身もラ・シオラでのドミナ経験のあるインタビュアー・早川舞との鼎談形式で行われました。
1)「しもべは何人いらっしゃいますか」
2)長期的な目線で、M男性に何を与えていけるか
3)相手を見て、相手に合わせたスキルを磨く
4)17年の女王様経験の中で節目になった時期 17年続けられた理由は?
5)心でつながっているから「会えるのがご褒美」
6)SMをしてみたい女性へ
「しもべは何人いらっしゃいますか」
早川舞(以下:早川)真珠さん、お久しぶりです。私がラ・シオラに在籍していたのは10年近く前になりますが、そのときとお変わりなくお美しい。それどころか、貫禄や存在感が増していらっしゃいますね。そのお美しさを保つ秘訣は何ですか。
つづきは【Domina Interview】ページへ
note - LA SIORA Tokyo
note はじめました。
Rie ASAGIRIのブログ先行配信、ブログ記事、過去の未公開記事など。
Jun.2021
邦タイトル 「慎みたまえ、口」 英タイトル 「Keep your mouth shut, my dear」 こちらから御覧いただけます。
コロナ禍のBDSM愛好家を表現した、Lily Rinae監督の短編映画。スペインでは賞も獲得、世界中で配信され、話題となりました。私もほんの少しですが関わらせていただいたので、嬉しくて仕方ありません。
Lily Rinae監督は顕在意識も顕在意識も露にするパワーがある。今後も現実に、妄想に、その狭間に、アンダーグランドに迫ってゆく作品を楽しみにしています。 この映画を撮影する前、彼女はあの太陽の国である作品を撮りました。
コロナ禍中のBDSMの世界が色がないとすれば、太陽と砂と青とあらゆる極彩色に溢れるその作品は対極です。どちらも開放と自由、心地よさに向かっているのは共通していますが。 舞台はスペインのイビサ島。パーティアイランドで有名ですが、この映画の舞台は巨大な箱ではなく、あるビーチのDJのお話。
随分前、全てを捨ててどこかで生きようと決断したことがあります。私が選んだのはスペインでした。この時は決断しただけで変わらぬ生活となりましたが。 あれから何年もの時は過ぎ、世界のどこにパラダイスがあるの?もし最終地を選ぶとしたら?という話題になり、私は2つの場所をあげました。
偶然にも片方はスペインでした。 太陽と影は共存しています。 制約の多いこのご時世、あなたが少しでも閉塞感を感じているなら、映像の中でもあの島へ旅しよう。 2021年7月24日(土)より公開です。 公式サイト「太陽と躍らせて」